アヒージョ好きのビーバー

世の中の本質を、自分なりに考え、解説します。正義感が強く、偉そうなもの、金持ちには、牙を剥きます。

臥蛇島の思い出

普段気にしていなくても、ふと思い出したり、何気ないときに、鮮明に蘇る記憶がある。結構頑張って生きてきたので、そういう状況に陥いることが多い。つい先ほどのことが思い出せないのに、20年前のことや、中には子どもの頃の思い出が、アルバムをめくるように、押し寄せる。

 

写真は、記念写真であるがゆえに、いつまでも心に焼きつくことになる。なんども見直し、思い出を語り、そしてそれなりに納得する。デジタルで簡単に沢山撮ると、安心してしまうのか、記憶の中には止まらない。これは、学習にも、言えることである。あっそうかと思ったことは、いつまでも心に残る。

最近、ぼーっとしていることが多いせいか、色々な思い出が押し寄せてくる。中には、ぜひ言い残しておかねばならない事や、考えてみてほしいこともある。

何でも便利になった時代だが、便利になりつつあった一昔前の時代の、人びとの努力や苦悩を忘れてはならない。理不尽な社会に翻弄されて、身の置き所もなく、無念な人生を送った人が、沢山いたことを忘れてはいけない。 

昔は、自民党の中にも、弱者に味方する議員が沢山いて、主流派の勝手な横暴を許さなかった。保守であっても、元の貧しさや、理不尽さを知っていた賢者がいた。今のように金持ちが、道楽で政治をしているのではない。自分の判断で人が死に、人が傷ついた時代だった。

 

その当時は、熊本の水俣病の患者の姿に泣き、子どもながらに、大人のいい加減さに怒りを覚えた。同じ歳ぐらいの少女が、親にご飯をスプーンで食べさせてもらっている写真は、今でも強烈に脳裏に焼き付いている。

  

雫石の飛行機事故の報道では、遺体安置所で家族へのインタビューをする、あまりにも無神経なテレビ取材に、放送局へ抗議の電話を入れた。大人のデリカシーの無さに、クラスの友達と連名で抗議の手紙も書いた。

許せないものは許せないと、少しでも、納得するものを求めた時代だ。

 

それは、ドキュメンタリーの報道によって、視聴者に問題提起され、うねりとなっていった。いまの放送局は、そこまでの根性も教養もなく、吉本とジャニーズと少女斉唱隊に、番組を丸投げしている。レベルは低い。やっていることに、ほとんど意味がない。選挙報道を批判したデーブスペクターの意見は、実に的を得ている。

 

さて、臥蛇島である。

 

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鹿児島県の十島村に属する、周囲9キロメートルばかりの島である。東シナ海に浮かび、島の周囲は50メートルから100メートルの断崖絶壁で、海と隔てられている。御岳という497メートルの火山があり、そのカルデラの様相をした台地に100人にも満たない集落があった。海岸とは、100段の石段があり、島民は、何でもかんでも、生活必需品は、その階段を担ぎ上げなければならない。

 

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島の歴史は古く、平安時代末期、平家の落人が住み着いたという伝説からはじまり、鰹節の島として名を馳せていたらしい。1940年、133人に島民が最高となり、その後、1952年に日本に復帰。ようやく、56年に簡易水道が、61年に学校発電所ができたが、それまでは、テレビも島の灯台で見るしかない不便な島であった。

週に一回来る村営の連絡船も、海の荒れた日は着岸できず、何週間も孤立することもあった。そんなことだから、新聞も1週間遅れ、遠足も、島外には行けず、1965年に初めて東京に修学旅行に出かけたのみ。

 

この島の様子は、1965年にNHKのドキュメンタリー「ある人生」で、島の熱血教師、比地岡栄雄さんの、活躍を中心に放送された。実際見たのは、再放送であろう。

厳しい環境の中にも、島の人たちの明るい笑顔や、助け合う様子が、素晴らしかった。ちょうど連絡船から、島民総出で、島の荷物を下ろす光景も見た。女性はみんな割烹着姿で、荷物の整理をし、若い男性は、海水に浸かりながらも、荷下ろしを手伝い、100段階段を担ぎ上げていた。感動して、思わず泣いてしまった。決してかわいそうにというものではない。清貧の美しさ、人の優しさに心を打たれたのだ。

島民の生活向上や、子どもたちの就職先の世話などに、必死に関係機関を駆け回る入道先生こと、比地岡さんの思いやりに、人としての威厳を感じた。

こんな人になりたいと思う人の1人である。

 

やがて、1970年、島民は集団移住をした。

 

その後、何度かテレビで見たが、ヤギか🐐増えているとか、周りの海が、ダイビングスポットになっているとかいう。

 

死ぬまでに一度、清貧の島を訪れてみたい。