アヒージョ好きのビーバー

世の中の本質を、自分なりに考え、解説します。正義感が強く、偉そうなもの、金持ちには、牙を剥きます。

黄昏の車内風景1

まだ5時半だというのに、あたりは真っ暗である。冬至はまだかと気になる今日この頃。早く職場を出てきたものの、やはり、この時間は、1日の疲れがどよ〜んと押し寄せてくる。

 

今日は、週の初め。

歩いて10分ぐらいの焼肉屋さんが、この間オープンし、今、華々しくオープニングセールとして、ビールの値段を安くしている。チャンスだと何人か、誘ってみたが、

「月曜日から無理」だとか、「次の日臭うから」という、実に曖昧模糊とした返事を突きつけられ、路頭に迷っているのである。

どうして、月曜日からジュージューは、いけないのだ。と、息巻いてみても、まあ、そういうものだなあと、2秒ぐらいで納得するのである。

 

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そういうこともあって、どよ〜んとした気持ちの中、きっと楽しいこともあるはずだと、車内をキョロキョロ見渡しても、みんな、携帯を必死でいじっている。

あーその先には、焼き肉のサイトがあるのではないか、美味しい焼肉屋を探しているのではないかと、余計な想像をしながら、あの、だよ〜んおじさんの明るさで、目をパチクリしながら、車内を見渡してみる。

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つり革につかまる乗客はだんだん増え、それなりに面白いことが見つけられるだろうと、またも、ちび太のごとく、目をパチクリしながら、あちこち目をやれば、チラチラこちらを見る目が。

 

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  おお、同士か?

焼肉に敗れ去った同士だろうか?

きっとそうである。こちらの様子を、全体の雰囲気を味わうようにしながらも、しっかりロックオン状態である。見て見ぬ振りであるが、鋭い視線を短い間隔で感じる。

 

しばらくして、降車駅が近づいてきた。慌てて、携帯コートのポケットに放り込み、続けて、ICOCAカードをまさぐる。その間も、その目線はいよいよわたしに集中し、目をそらすタイミングも少なくなった。そして、巨人の星のあの飛雄馬の炎の🔥瞳と変身していくのである。

 

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 ついに、電車は、ホームに滑り込む。勢いをつけ、前の人に当たらぬよう身をかがめながら、幾分か遠慮しつつ立ち上がった。すると、その飛雄馬があっという間に、そのわずかな隙間に割ってはいり、わたしが今しがた座っていた座席に着座した。

 

そうか、座りたかったのだ。

謎が解けたところで、電車を降りた。

 

あたりは、ますます漆黒の闇である。