あの人権教育って子どもをばかにすること?
子どもの人権条約が、発行して久しく時間が過ぎた。日本で1994年4月22日に批准されたこの条約は、今では196カ国が批准締結している。しかし、日本が早くから認めたものではない。実は、日本は1990年9月21日に109番目で署名、1994年4月22日、158番目の批准国なのである。アメリカは、条約に署名はしたものの、批准はしていない。
この条約は大きくわけて、次の4つの子どもの権利を守るように定めている。そして、子どもにとっていちばんいいことを実現しようとうたっている。
1 生きる権利
防げる病気などで命をうばわれないこと。
病気やけがをしたら治療を受けられることなど。
2 育つ権利
教育を受け、休んだり遊んだりできること。考えや信じることの自由が守られ、自分らしく育つことができることなど。
3 守られる権利
あらゆる種類の虐待(ぎゃくたい)や搾取(さくしゅ)などから守られること。
障がいのある子どもや少数民族の子どもなどはとくに守られることなど。
4 参加する権利
自由に意見をあらわしたり、集まってグループをつくったり、自由な活動をおこなったりできることなど。
具体的な条約条項は40あり、
例えば、
第1条 子どもの定義
18歳になっていない人を子どもとします。
第2条 差別の禁止
すべての子どもは、みんな平等にこの条約にある権利をもっています。子どもは、国のちがいや、男か女か、どのようなことばを使うか、どんな宗教を信じているか、どんな意見をもっているか、心やからだに障がいがあるかないか、お金持ちであるかないか、などによって差別されません。
第3条 子どもにとってもっともよいことを
子どもに関係のあることを行うときには、子どもにもっともよいことは何かを第一に考えなければなりません。
第4条 国の義務
国は、この条約に書かれた権利を守るために、できるかぎりのことをしなければなりません。
第5条 親の指導を尊重
親(保護者)は、子どもの心やからだの発達に応じて、適切な指導をしなければなりません。 国は、親の指導する権利を大切にしなければなりません。
第6条 生きる権利・育つ権利
すべての子どもは、生きる権利をもっています。国はその権利を守るために、できるかぎりのことをしなければなりません。
第7条 名前・国籍をもつ権利
子どもは、生まれたらすぐに登録(出生届など)されなければなりません。 子どもは、名前や国籍をもち、親を知り、親に育ててもらう権利をもっています。
第8条 名前・国籍・家族関係を守る
国は、子どもの名前や国籍、家族の関係がむやみにうばわれることのないように守らなくてはなりません。もし、これがうばわれたときには、国はすぐにそれを元どおりにしなければなりません。
第9条 親と引き離されない権利
子どもは、親といっしょにくらす権利をもっています。ただし、それが子どもにとってよくない場合は、はなれてくらすことも認められます。はなれてくらすときにも、会ったり連絡したりすることができます。
第10条 他の国にいる親と会える権利
国は、はなればなれになっている家族がお互いが会いたい、もう一度いっしょにくらしたい、と思うときには、できるだけ早く国を出たり入ったりすることができるように扱わなければなりません。親がちがう国に住んでいても、子どもはいつでも親と連絡をとることができます。
第11条 よその国に連れさられない権利
国は、子どもがむりやり国の外へ連れ出されたり、自分の国にもどれなくなったりしないようにしなければなりません。
第12条 意見を表す権利
子どもは、自分に関係のあることについて自由に自分の意見を表す権利をもっています。その意見は、子どもの発達に応じて、じゅうぶん考慮されなければなりません。
第13条 表現の自由
子どもは、自由な方法でいろいろな情報や考えを伝える権利、知る権利をもっています。ただし、ほかの人に迷惑をかけてはなりません。
第14条 思想・良心・宗教の自由
子どもは、思想・良心および宗教の自由についての権利を尊重されます。親(保護者)は、このことについて、子どもの発達に応じた指導をする権利および義務をもっています。
第15条 結社・集会の自由
子どもは、ほかの人びとと自由に集まって会をつくったり、参加したりすることができます。ただし、安全を守り、きまりに反しないなど、ほかの人に迷惑をかけてはなりません。
第16条 プライバシー・名誉は守られる
子どもは、自分のこと、家族のくらし、住んでいるところ、電話や手紙など、人に知られたくないときは、それを守ることができます。また、他人からほこりを傷つけられない権利があります。
など、40条が、子どもにもわかりやすい文章で書かれている。
このように、当たり前のようなことであっても、せかいには、戦争の惨禍にあっていたり、兵士として戦っている子どももいる。貧困や、飢餓は、あちこちに存在し、ストリートチルドレン、マンホールチルドレンなど、想像を絶する環境に置かれた子どももいる。
反面、ものが豊かで、十分に安全でしあわせな生活をしているといっても、家庭内に虐待やネグレクトが存在することもある。
さらに、そこまで、明らかな問題がなくても、日々、生活の中で、不幸なおもいをしている子どもは、おそらく数多くいることであろう。
日本は、発展途上国のような危機的な人権侵害はないと、批准をためらっていた。
さて、これが生活や、児童相談所や、学校に生かされているとは、なかなか言えない。
おでん仲間の、神戸の教師の友だちは、人権教育をしている教師が、1番人権を知らないという。
何だこれは。