いこかをなくした
先週、家を出て、例の、歩きと走りのミルフィーユ風の走法で駅に向かっていた。きちっと守らないと命の危険にさらされる大きな信号を渡り、革靴のホーキングのだらしないかかとを直しつつ、定期券を探した。
ない。
財布の中に入れていたはずの、いこかカードが見当たらないのだ。もう一度、先週新しく1日かけて修理してもらったはずのいこかカードを、財布にあったカード類を1枚1枚、祈るような気持ちで、めくっていった。
もしや、テーブルの上にでも置き忘れたのではと、家に戻ることにした。
殺気立った気配に、目の見えぬ老犬りょうも、起き上がり、母も、二階に上がってくる始末。大騒ぎしたが見つからず、駅に向かい、みどりの窓口で、紛失の手続きをした。
思いの外簡単で、今の情報処理技術はすごく進んでいると感じた。と、同時に、お年寄りにはわかるかなあとも考えた。
次の日の朝、再発行してもらった。
電子マネーは、無事であった。
手数料は、1050円であった。