黄昏の車内風景3
前にも書いたが、黄昏てもうすっかり暗くなるうちのことなので、今時分の時期にはふさわしくない言葉なのかもしれない。この前、マジックアワーという言葉を、テレビで久しぶりに聞いたが、明るさからすると、すっかり過ぎてしまっている状況である。
暗い、中を、ホームで待っていると、案内板に、強風で湖西線がと言う表示が出たので、またJRが何かやらかしたのかと、緊張したが、サンダーバードの米原経由運行のお知らせであった。
まだ6時前なのに、車窓はもうすっかり8時以降の風情である。闇が深く、黒がすっかり夜の色として、息を凝らしている。普段なら、ええい、飲みに行くぞ、と軽く席を立って、途中下車をするのではあるが、今日は寒くて、その寒さはコートの隙間から、どんどん体に突き刺さってくる。外を歩けば、まるで、ブリザードの中で挑む、南極観測隊の必死の気象観測の様相である。
もう外に出られない。このまま、電車の中で越冬するのだ。
こんな調子で、寒さに耐えていると、7両目1番扉にいたOLが、携帯で長電話をしている。
もうなんでもいい、この寒さをなんとかしてくれ。