今日の昼から、あまりの天気の良さに、庭の花の世話をした。長く、放置していたので、前の歩道を行き交う人の目には、なんじゃこれという状態になっていた。イチゴの苗をハンギングにし、舐めナメクジ舐めナメクジが来ないように、工夫しているとき、1人の男性が声をかけてきた。
「あのう、ここにいた柴犬は、もうなくなったのですか?」
なんだ唐突に。
その右手には、散歩中の仔犬の紐が見えた。
なるほど、りょうは、生活態度はもはや褒められるものではないが、とにかく、まだ、かろうじて生きているのだ。と、思ったが、一応説明しておこうと犬小屋を指差して、
「まだ元気ですよ」と、答えた。
知らない人だが、驚いたようなような顔をするので、
「今いますから(と言ってもいつもいるのだが)連れてきます」と言って、犬小屋に向かった。
犬小屋に向かうと、確かにりょうはいた。
抱っこして抱えて連れて行った。
男性は、あまりに、小さくなったりょうを見て、さらに驚いていたが、ニコニコして
「いつも、このあたりに座っていましたね。りょうちゃんは何歳ですかと」と、立て続けに聞かれた。
えっ、どうして名前を知っているのだ?そうか、そんなにまで、りょうのことを思っていてくれたのか。
さっきも心配して聞いてくれたのだ。
いい人だ。
「14歳です」
「すごく長生きですね。もう目が見えないのですね。元気でいてくださいね」
と、りょうの耳や手を触りながら話を続けた。
最後には、礼を言って別れた。
りょうは、たくさんの人の愛で生きているのだ。そう簡単に死なないはずだ。
それにしても、いい町だ。