我が家の恐怖体験
お盆には、昔テレビで昼の12時から、「あなたの知らない世界」という番組があり、しっかりと見てしまうと夜トイレに行けない時代を迎えるほど怖かった。
両親から、昔の怖い話を聞いたり、近所で聞いた嘘みたいな霊現象の家を見に行ったりした。
高校生の一年生で、夏休みに播州の清水寺にあるユースホステルに泊まった。毎年クラスの旅行委員が企画するクラス旅行であるが、昼間は何をしていたかよく覚えていない。ただ、飯盒炊爨で躍起になっていたと思う。
夜は、レクリエーション係の肝試しである。
住職の寺にまつわる不思議な話を聞いて、男女一組になり、順に決められたルートを歩いていくのだが、ある場所で、いきなり服を摘まれた。あとで聞くと、そこには怖がらせる係はいなかったという。とても怖かった。
大学生の時は、よく下宿で 金縛りにあった。今なら金縛りの原因がかなり解明されているので、理解できるが、当時は毎夜不安であった。
海にも近く、一度台風で床下浸水をしたこともあるところなので、畳をカニが歩いていたことはある。
さて、1番怖い話である。
今住んでいる家のことだ。別に自分にはさほど心霊現象を受け止める霊能力もなく、職場での上司と同僚との不倫も、自分だけ知らなかったという鈍感な生活を送っていた。家は、震災後しばらくして、両親のために、父親の土地に建て、2世代住宅にしたものだ。
越してきてから、しばらくして、当時まだ3歳の子供が、女の子がいると言ってきた。よく、聞いてみると、赤いスカートで、赤い靴下の小さな子の体が、2階の洗面所の入り口に見えるというのだ。多分見間違いだと言ったが、いや何度もあるという。その度しんどくなるというのだ。子どもはあまり目は良くない。多分見間違いなのだと説得したが、今度は、1階の風呂に髪の長い女の人がいるという。実際に見える場所も教えてもらったが、ありえない。
よく聞いてみると、その女性は、急に見え始めて、何度かあったらしい。
しばらく、その状態が続いた。
子どもが小学校に上がる前には、夜に眼を覚ますと、知らないおじいさんが書斎に座って寝室を見ていると言い出した。3人目である。
その人は、何をするでもなく、じっとこちらを見ているだけだという。しかし、怖いらしい。
しばらくすると、おじいさんは書斎から出て、隣のクローゼットに移ったという。歩かないで、スーと動いたらしい。そこからも、座って見ているという。
しばらくいるいないを繰り返し話していたが、小学生になると、下の階に降りて、玄関に現れるようになり、学校から帰るとじっと階段の横から見ていたという。姿を見ると、とても怖く、しんどくなるのは、変わらなかった。
2年生になって、そのおじいさんは、父の父であったことが判明した。偶然仏壇に初めて置いた写真でわかったのだ。
まもなく我が家を建て増しをするときに、自宅の前にあった倉庫を潰したら、その下から井戸が出てきた。
井戸は古く、鉄板や木材が重なっていたから発見されなかっという。急いで神社の神主さんに来てもらい、お祓いをしてもらった。井戸は、埋めて息抜きをした。
それからというものの、家の中では、何も見なくなったという。しかし、4年生までは、耳元で名前を呼ばれることが度々あったらしい。ジャングルジムで1人でいる時や、掃除をしているときに、近くで名前を呼ばれたという。
仏壇に出てこないでくださいとお願いしたから大丈夫と自分なりに決着をつけたらしい。
何もしてやれなかったが、これが我が家の恐怖体験である。
その子どもは、関東で一人暮らしをしているが、何かそういうものと、出ないでと約束を交わしているらしい。よく、わからない世界だ。