アヒージョ好きのビーバー

世の中の本質を、自分なりに考え、解説します。正義感が強く、偉そうなもの、金持ちには、牙を剥きます。

素敵な和歌山11 ラーメンを食べる

駅前の、ラーメン屋に来た。できれば、井出商店にでも行きたかったが、多分満員だろうと躊躇し、近くの店を選んだ。

JR和歌山駅の駅前は近鉄百貨店と、美園商店街がある。昔はスーパーマーケットもあり繁華であった美園商店街は、シャッターが増えてきて半分以上閉店している。しかし、中にはユニークな店もあり、夜更かしで有名になった和歌山弁のザジズゼゾが得意な洋品店「ふるたに」もある。「どうさん」と象さんを発音する、ステキなおばちゃんに会える。

その商店街にある、ラーメン屋さんが気になっていたので、単身突入した。

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すぐに、2人の女性店員の威勢のいい声で、ギョッとするものの、左側のテーブルに通された。そこには、会社の昼休みだろうか、二、三人のネクタイ姿の、サラリーマンが、ラーメンをすすりながら、雑談をしていた。中には、もうすっかり食べ終わってはいるものの、いよいよ「この45分の休憩時間は、この場所で過ごすからね」と、完全に世間話で盛り上がっている集団もいる。1人テーブルに通された。

やはり壁を背にして座る。メニューを見ると、湯浅醤油を使った醤油ラーメンが売りらしい。 醤油といえば和歌山、その中でも金山寺味噌と同様に醤油は湯浅が発祥だと言われる。

今は、千葉の調子や野田が有名になってはいるが、江戸以前は和歌山の特産であったのだ。和歌山からは、漁民の遭難が多く、黒潮に乗り千葉県の房総半島に流れ着いたことから、和歌山の文化として色々なものが伝わることになる。

稲わらの火で有名な浜口梧陵も、和歌山出身で、ヤマサ醤油は和歌山の伝統を受け継いでいるのである。その和歌山の、正統派、正々堂々の醤油が入っているラーメンなのである。

正々堂々の醤油ラーメンにまだ生醤油が乗ってくると言う、醤油好きならたまらないラーメンと、湯浅のおかかご飯のセットを頼んだ。

落ち着いて店内を見渡すと、和歌山ゆかりのものがたくさん置いている。徳川吉宗を始め、陸奥宗光有吉佐和子、浜口梧陵、南方熊楠など和歌山出身の有名人の写真と共に、それに関係した書物が積まれている。文庫本や伝記、中には専門書もある。なかなか、居心地がいい。特に、浜口梧陵の写真を見つけた時は、さすが醤油ラーメンと、感動してしまった。

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やがて、その生醤油入りだという吟醸醤油ラーメンと鰹節が乗った小さなお茶碗が出てきた。

定食の登場である。

もう浜口梧陵まであるのだから、思わず背筋が伸びてしまった。

 

さあ、食べようとしたら、先ほどラーメンとご飯のトレイを持ってきたお姉さんが再び白い化粧品の瓶のようなものを持って現れた。

む、む、む、お主なかなかやるなあ。と、これから起こることに身構えたのではあるが、彼女は、さっとその瓶を持ち直し、噴射口と思われる尖った先をラーメンに向け、◯◯醤油をおかけしますねと言って、プシュプシュその化粧品のようやなガラス瓶に入った黒色の液体を、かけ始めたのである。ああ、これが生醤油のアレなのかと、納得し始めた時、その見事なまでの滑らかな行動は、終わってしまった。

「それは、湯浅の角長ですか?」と聞いてみたものの、その醤油は、手作り醤油で有名な角長の濁り醤ではなく、丸新本家の醤油だという。そうか。そうだったのかと、新たな湯浅の醤油会社の台頭に焦りつつも、知ったかぶりをして、「なるほど」と、変に納得したふりをしてしまった。

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スープは、真っ黒だが、そんなに辛くない。旨味の上に、醤油の匂いが押し寄せてくる。なのに麺はコーティングしているかのようなツルツルのシコシコなのである。旨いが、3つぐらい出そうな味である。シコシコとした硬めの麺のかみごたえと、醤油の香りがわんさか口の周りにまとわりついてとても美味しい。

これなら、ラーメンを大盛りにしておくべきだったと後悔した。

おかかご飯にも、湯浅醤油である。

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こうなったら塩分も何も関係ない。大豆由来の食品なのだから、健康なのだと醤油を愛でながら、食べ続けたのである。

嗚呼、また食べたい。