マスクありません
マスクが店頭から消えてもう1ヶ月になる。
政府は2週間前に、企業は生産に励んでおり、月産6億枚を確保していると公式に伝えていた。それも、その2週間前にも、同じように枚数を上げて、慌てないようにという旨の話をしていた。
しかし、一向に店頭に現れて来ない。よく考えて見ると、1ヶ月に6億枚って、1ヶ月に国民1人あたり5枚なのである。これでは、1ヶ月に5日しかはたらけないのである。病院でも、今まで、任意に新しいものに付け替えられていたものが、1日に1枚と、使用基準が変更されたという。また、公立の病院でも、マスクがなくなっているという。日本の民度は低い。
そういえば、マスクの製造は、ほとんど中国に頼っていた。格安の数の多いマスクは大抵中国製である。日本製は高い。しかも、恐ろしいほどの高さである。5枚で400円。1枚80円。4人で300円強。性能はとてもよい。
安定して、1枚10円以下のマスクを使って来られたのも中国のおかげである。
特に中国は、pm2.5対策でマスクを大量に製造している。本来は日本への輸出であったものが、今や、自国の新型肺炎対策に消費され、日本には回らなくなった。
だから、店頭にはマスクがないのである。
わたしは、花粉症なので、昨年の春にたくさんマスクを購入していたのを、今頃思い出した。職場のデスクの引き出しの奥に、そのマスクは鎮座していた。しかも2箱も。もう、徳川埋蔵金を見つけたみたいに、やったあを連呼した。
一箱を職場仲間にお裾分けした。
心配なのは、なんでもかんでも、経済の論理で安かろう悪かろうと、さほど儲からないものは自国で生産しなくなっていることである。プラント輸出で、工場ごと機械を渡すだけでなく、その生産活動の精神も一緒に相手国に届けてきた。反対に日本には進んだ英語圏の国を介して別のものが導入されつつある。
説明責任、自己責任という、まるで上司が責任を取らない形で、仕事をする形が定着してきた。
物を作らず、アイデアを絞り出す生産に変わってきている。だから、作り手の苦労はわからないし、そんなことは気にもしない。
こうして軽工業は日本にはなくなりつつあり、その中で細々と技術を受け継いできた工場に今更、頑張って増産しろと言ってみても、「勘弁してくだせえ。中国が作り始めたらどうなさるおつもりですか」ということになり、結局は、設備投資が、進まないのである。
そんなことも考えての政府の説明だろうか?もう、政府もポンコツで、発表するおっさんもアウトだから、適当なことを自分を信じて、官僚の責任として、説明しているのに違いない。
もうマスクはない。
マスクがあったという昔話しか残らない。それが嫌なら、日頃から高い日本製のマスクを、しっかり大量に購入し続けるしかないのである。