正座して見た【仁】
この時だから、この番組は、心にずしんと来る。
5分に1度笑わせる番組もあるが、この番組は、5分に1度は泣かされる。
今の時代から考えると、昔の医療はまだまだ未発達で、江戸時代であっても、運を天に任せるところがたくさんあった。
ましてや抗生物質などない時代である。
その時代だからこそ、何にしても1から作らねばならないが、作り方を伝授して、作ってしまうと技術的なことばかりではなく、その技術の底辺にある理屈や科学も、早く伝えることになる。
そういう心配も見越して、丁寧にドラマは進む。
いよいよペニシリンの登場だ。
旧漢方医学の勢力の妨害。
蘭学を超える魔法の治療。
出来もしなかった手術。
武家の嗜み。
全てにおいて、そうだろうなあと納得できる。
マスクは布マスクだ。
科学や技術のまっすぐさと、
今でも通じる人間の汚さが交差する。
もうすぐ、和歌山の醤油屋の大店、
浜口梧陵が登場する。
醤油を扱う、発酵のプロとして。
ヤマサ醤油の7代目である。
彼は、実際に、種痘所(東京大学の医学部の前進)を創設し、郵便制度の基本を作り、あとを前島密に任せた。
地元の広村には、人々に給金を与え、堤防をつくり、学校もつくった。
昔の金持ちは、人に尽くした。
貧しいものの味方をした。
それが粋であり、かっこよかったのだ。
主役の南方先生の名も、あの和歌山の天才博物者、南方熊楠を想像させる。
和歌山の応援隊からすると、少し嬉しい。
作り物の話だが、5分に1度は、その一生懸命さに泣かされる。
コロナのいまだからこそ、医療関係者の賢明な努力と献身的な働きに感謝したい。
同時に、早く治療法が見つかるよう、十分な予算立てをして欲しい。