光源氏くん 和歌がはやりそう
今一番の人気ドラマが、NHKの「いいね!光源氏くん」である。いや、わたしの中では、朝ドラを省いて、銀河テレビ小説の「悲しみだけが夢を見る」BSプレミアムドラマ「てふてふ荘へようこそ」、「王様のレストラン」、「校閲ガール」に次ぐドラマである。
須磨へ遊びに出掛けた光源氏が、タイムスリップをして現代にやってくるという話だが、そもそも物語上の人物であるのに、画像として登場してくる。
もう、その時代錯誤が面白いのだが、あまり、くどく扱わず、現代の恋愛やら、仕事やらの悩みも扱っている。
言葉遣いも、笑い方も、生活習慣も、借りている服の小ささも滑稽である。
何より、いつも烏帽子をかぶっているのもおかしいが、自分の心の動きを和歌として、いきなり立ち上がって歌い出すのが、奇妙で面白い。和歌も、宮中歌会始のように、言葉を長く伸ばすして本格的にやっている。
受けると思ったのか、NHKは、番組中に紹介するとして、和歌の募集を始めた。
出演者は、光源氏を千葉雄大、光源氏が現れた部屋のOLを伊藤沙莉。千葉のひょうきんな役柄と、伊藤のサバサバ感が実にいい。
途中で中将も現れ、いよいよ物語に平安化が進んできた。
また、能が完成する以前なのに、話の落ちには、あのイヨーという掛け声が入るのも、なかなかのものである。
これから物語も佳境を迎える。もともと、歴史の面白さではなく、現代の所業を、仕事もせず、恋愛と遊びばかりに浮かれていたその道のプロとしての平安貴族の視点で見ていくドラマなので、反省することもある。
平安貴族にダメ出しされたら終わり。
早く和歌を考えないと。