東京物語1回目
小津安二郎監督の昭和28年の作品である。
もちろんモノクロ。
広島の尾道に住む老夫婦が、東京に住む息子たちに会いに出かけるという話である。
笠智衆、東山千栄子、原節子、杉村春子、山村聰など、なかなかみんな若い。
小津作品は、ローアングルでしっかり情景を写し取っていくが、セリフとセリフの合間に、自分の生活や考えと向き合う時間とも言える時が流れる。
東京に出た両親は、そこで暮らす長男長女に出会えるものの、2人は忙しく、せっかくの親の上京をやっかんで、適当にあしらうが、戦死した次男の妻は、献身的に義父義母をもてなす。
東京見物に連れて行ったり、自宅に招いたりもする。
まもなく、尾道に帰った両親だが、途中で母親が急変し、家族全員が集まる中で、母親は亡くなる。形見の品をよこせという長女の厚かましさも描かれる。
家族の絆、夫婦と子供、老いと死、人間の一生、それらを淡々と描いている。現代の映画と違い、見る側に力がいる。一言一言が重い。いや、感じられる人にとっては重い。
何度か見たが、長いのでぶっ通しに見たことはない。今日は時間があったので、最後まできちんと見た第一回になる。
木製や紙製の家で、しかも懐かしい時代の香りがする映画である。
厚かましく勝手な子どもと、あくまでも優しく丁寧に義母義父に接する次男の妻が対照的に描かれる。
実に今の家族の問題も描いている。
何度も見て、小津監督の思いを読み解きたいと思う。