セメダイン臭の結末
あれから1週間。
野菜くずを入れ替えながら、セメダインと化した糠床をかき混ぜ、水を取り、塩を加え必死の回復処置、いや、ぬか床の必死の素性を図ってきたが、ますますセメダイン臭は、勢いを増し、蓋を開ければもはや、台所だけではなく、二階のリビングにいても、洗面所にいてもたちまち臭いは追いかけてくる。
子どもは、薬品臭だという。そういえば、昔懐かしい診療所の消毒液の匂いにも似ている。
トイレの汚物臭でもなく、ゴミの腐敗臭でもないが、化学臭というのは目にくる。鼻にも槍で突き刺さるようにいきなり直球勝負でくる。冷蔵庫の1番奥にいながら、キムコの役目をするのでもなく、ノンスメルになるのでもなく、ひたすらタッパーの中で、嫌気性の細菌が増殖し続けていたのである。
よく考えて、ぬか床を捨てることにした。こんなにも臭うのだからと、庭木の根元に入れた。庭木もいい迷惑だろう。枯れないことを祈る。