アヒージョ好きのビーバー

世の中の本質を、自分なりに考え、解説します。正義感が強く、偉そうなもの、金持ちには、牙を剥きます。

気分はだぼだぼソース1

大きなスーパーでは、有名な揚げ物屋や、焼きとり屋が、店頭で、販売している。
もちろんスーパーで販売している揚げ物でも十分に満足だし、わたしが買い求める時間には、ずいぶんと安くなっている。それでも、揚げたて、しかも、目の前で上がるコロッケやトンカツなどの揚げ物のインパクトは、すごい。まだあげられる前の、真っ白なパン粉を身にまとったフライ直前のコロッケでも、「わたしは、これから揚げられるのよ。あなたとは違うわ。」と言いたげな、殿上人のような風合いを放ちながら訴えてくる。また、ラードの効いた揚げ油の甘い匂いも、そのムードを2倍にも3倍にも高めながら、光線銃のように鼻腔に届けるのである。



しかし、知り合いの、美食家マダムが、「あの店はもう一つよ」と、呟いていたことを覚えていて、多くの店を食べ歩いているマダムの判定は大方正確であり、道場三郎がなんと言おうと、土井善晴がはんなりと批評しようと、絶対なのである。それ故に、うまくないだろうという予想は十分に立っているのだが、その日は、気分がダボダボソースであった。

ああ、今日は、ソースが飲みたい。キャベツの千切りに、マヨネーズをあえて、ウスターソースをかける。マヨネーズの酸っぱさが、ソースの辛さとマッチして、小学生の時からの、大好物であった。今でも、何かの拍子で食べたくなる。もう、ダボダボにソースをかけて、コロッケをソースコロッケにして、ソースを飲む。それが、おかずになり、ご飯を何膳も食べる。そして太る。

そういう、パターンに頭の中が仕上がり、よし、行くぞど、スーパーのレジを出たところにある、「もう一つ」のフライ専門店の店頭に立った。
「すみません」別に謝ることもないのに、やや猫なで声で、そっと呟いてみる。すると、つい先ほどまでレジにいた女店員がいない。もう一度「すみません」と声をかけると、レジの下をごそごそしている。いるじゃないかと、もう一度呼ぶと、今度は聞こえたはずで、チラ見ましたはずなのに、知らん顔をしている。なんだろう、さっきまでフライをあげていた男性もいない。それだからか、女店員が無視をしているのだ。



なんてことなんだと、先に、スーパーの買い物を済ませようと、買い物カゴを持って、魚コーナーに向かった。魚がよければ、フライを諦められる。しかし、刺身も煮魚も、良いものがない。
また、ダボダボソースが、押し寄せてきた。

あれだけ無視された、「もう一つ」の店の前に立った。フライをあげる男性がいた。女店員もいた。女店員は、明らかにタバコか酒で焼けた声で、「いらっしゃい」と言った。明らかに、サービス業の声ではない。何か、嫌な感じがした。男性も、食べ物を扱うにしては、汚らしい格好だ。デパ地下ではフライをあげる人は、コックさんみたいに白い衣服を着ている。どうなんだろう。

けっこう有名なフライ専門店なのに、こんなのでいいのだろうか。つまらない顔をして、イヤイヤ仕事をしている店なんか、ありだろうか?

家でたっぷりとソースをかけて、食べた。やはり、「もう一つ」だった。
もっと楽しく働いてくれたら、美味しかったかも。