西郷どん
大河ドラマが終わった。あったかなかったか、よくわからないことをよくもまあ、あのように引っ張ったなあと思う。
柴咲コウは、とてもいい女優なのに、なんてことかとも思った。
思い返せば、清盛なんて、NHKに視聴料の返金を請求したいほどだ。知事も苦言を言っていたが、映像が悪く、いくら臨場感とはいえ、押し付けられた価値観や、上から目線の演出に嫌気が差した。
清盛といえば、かなり実像がいがめられて伝えられている人物の1人である。悪人のように、平家物語に語られているが、嘘八百。のちの、鎌倉が、事実を捻じ曲げたのであり、十訓抄などの別資料では、優しい清盛の一面が残されている。つまらない冗談にも笑ってやり、寒い日の警護には、暖を取ってやったという。なにより、人前で叱ることはなかったらしい。そんな人だから、常盤御前の息子の命乞いを聞いてやったのだろう。
NHKにとって、歴史的にほぼ定説になりつつある、正しい清盛像を世に知らしめるチャンスであった。今回のように、実は、明智光秀は、本能寺の変の頃は、よほどの老人であったことをうまく演じていたが、同じように、清盛も世に問うことができたはずである。
しかし、あのていたらくを晒してしまった。役者は、揃っていたし、構想も外れではなかったのに。
さて、西郷どんである。いまどきの鹿児島弁ではないので、言葉の真似のめちゃぶりが心配されるが、とにかく、あの、西郷隆盛の登場である。
西郷隆盛は、鹿児島の英雄だけでなく、日本人の祖型となる何かを持ち合わせて、誰からも愛されている。これは百も承知だ。仕事だけでなく、旅行で鹿児島は、何度も訪れた。西郷隆盛の人気は半端ではない。鹿児島出身の先輩も、もう亡くなられたが、鹿児島大学の森本おじさんも、桜島大根を売っていたおばさんも、鹿児島ラーメンののぼる屋の女将さんも、みんなみんな西郷どんが好きである。
これは、まるで、リンカーンだと感じた。
西郷隆盛や大久保利通らが、郷士の子どもとして遊び回っていた街に、維新ふるさと館がある。 駐車場でタイヤをこする失敗をしたが、とてもいい博物館である。人形が現れ、維新や西南戦争を語るのであるが、なかなか高い志を感じ、感激した。感動して、涙が出た。
以後、鹿児島を訪れる時は、必ず立ち寄るようにしている。
さて、キャストを見ると、花子とアンの鈴木亮平や、黒木華、が出ている。竜雷太や伊武雅人もいる。間違っても、髭爺じゃとは言わないだろうが。
脚本は中園ミホ、これだけでもやってくれるのではないかと、期待してしまう。
西郷隆盛は、あの大塩平八郎の考え方に心髄していたという。その辺りをどのように描くのか興味深い。また、大久保利通が、死ぬまで懐に西郷からの手紙を大切に持っていたのも、とても興味がある。
鹿児島が、舞台になり、鹿児島弁がそこらあたりに聞かれるようになる頃、西郷の庶民を大切にしたい精神も、あの金持ちだけを大切にする連中に、届くと有難い。
しかし、征韓論が出てくる頃には。また、日本バッシングが展開されるのではないかと、心配である。
ところで、不倫スキャンダルの渡辺謙も島津の殿様役で出るのだそうだ。どのツラ下げて、演じるのだろう。
NHKも、放送コードが低く、甘くなったものだ。