新しい一週間が始まった。
日々新たに生きる事をモットーにしているが、月曜日の朝は、例外である。
前日のサザエさんから憂鬱になり、15分遅れて始まった大河では、12時間後はという、絶望感に苛まれる。
それでも、今朝は、年老いて気のむくままに生きている愛犬の余裕たっぷりの顔を見て、少しは元気を出して、JRに乗った。駅までは、インターバル歩行で向かった。
いつも同じ車両に乗る面々は、約1名を除きすでに間も無くホームに滑り込んでくる、いつもの列車を2列縦隊で待っていた。
降りる人を待って、よいよいと車内へ吸いこまれた。よく空いていた。
反対側のドア付近は、いつも誰かが立っていて、二駅までは決して近づくことはできない。読書好きのわたしは、二駅先から冷たい手すりに支えてもらいながら、爆読体制に入る。
しかしながら、今日は、よいよいよいよいと、すんなりとその定位置にたどり着くことができた。振り返り、他の面々はと車内へ目をやると、男子高校生が、お年寄りを押し退け、空いてる席にちゃっかり座ってしまった。
それだけではない、その高校生は自らの手で押し退けたお年寄りを、どうだ参ったかとばかり睨みつけている。災難に出くわしたかのように。
そこで笑いでもしようなら直ちに、一撃を喰らわせたのであるが、そのお年寄りは、わが2列縦隊組の一人である。あまりにも、地元選出の国会議員に似ていたので、間違って挨拶をしたことからちょっとした顔なじみであった。
このお年寄りを押し退け、平然としているのだから許せない。しかし、ここでしゃしゃり出て、このお方は十分にお年寄りで、もうヨボヨボなんだから、少しの時間でも席を譲ってあげなさい。となんか言いながら、説教すると、今度はわが2列縦隊の統制にヒビが入りそうである。社会人としての秩序を主張すべきか、2列縦隊の安寧の維持かを天秤にかけているうちに、列車は動き始めた。
車中は穏やかであったが、心の中はモヤモヤしていた。こんなことわからないのだから、よほど鈍い奴なんだろうとか、
名前だけかければ合格という学校なのかとか、微分積分は解けるだろうなとか、想いを巡らせているうちに、その男子高校生は、予想した通りの駅で下車して行った。
その駅からは、今度は、学期末テスト大声確かめ合いなかよし私立女子高校生が大挙して乗り込んで来た。