愛犬りょう12脱走編
りょうは、我が家に15年近く住んでいる、しば犬である。
目は見えない。
オスではあるが、もう後ろ足で踏ん張ることができず、オスらしい、あの颯爽とした片足上げての電柱しっこは、もうできない。メスのように、うずくまり、ごそごそしながら、その排泄作業とやらをやらかす。実に、歳をとることが哀しいことであると、感じる一瞬である。
先日、りょうと一緒に日向ぼっこしていたら、前を通りかかった、これからたこ焼き買いに行くもんね的な女性集団が、りょうを見るなり、「この犬若い頃可愛かったのに」、と言ってきた。そうだ、可愛かったのだ。みんなに愛され、みんなに触られていたのだ。今も、十分かわいいけれど、まあ、こいつらにそれがわかるまでは、まだまだ時間がかかりそうだ。
そのりょうは今日は、昼間、門を押して開け、家の前の歩道をうろついていたらしい。
若者が気づいて、抱えて、隣の店に連れて行き、家に連絡があった。
目が見えなくても、どうすれば外にでることができるか、遠い記憶の彼方にあり、それが蘇ってくるのだろう。
どうして、扉が開いたのかわからないし、なぜ出ようとしたのかもわからない。
何かの前触れでなければいいが。
若者に感謝!