いよいよ家庭菜園の季節
花を育てるのが好きだ。
小学校の時、憧れの放送委員会にジャンケンで入れたのに、担任の先生が、頼むからさいばい委員会に行ってくれと、放送室まで言いにきたので、仕方なく栽培委員会に流れた。
今ならそんなことあるのかということだが、まだ先生には教養と威厳があった時代である。先生は神様であった。
どうして栽培委員会に行かされたのか、それはメンバーを見て分かったのだが、すぐに委員長に選ばれ、長い栽培人生の始まりとなった。
家の物干しには、今では考えられないほどの浅い瀬戸物の容器に土を入れ、大豆を植えて育て始めた。肥料の知識も、植物の知識も無いので、とにかく土に植えて水をやっていたら何かができるという感覚ではあった。
ようやく一つだけ枝豆ができ、台風でぐちゃぐちゃになり、初めての収穫は夢となった。
中学に行く前に、校庭の隅にミニバラを植えた。わたしは、赤いバラを選び、中学校の通り道に植えた。それは、高校に行っても咲き続けていた。
それ以来、何かにつけて植物を育ててきた。30代で、グリーンアドバイザーの資格も取った。
ということで今がある。今は、優れた土や農薬や栽培方法がたくさんあり、ついに、土中の虫をやっつける薬品まで市販されている。そこまでするのは怖いが、あの、黄金虫など、土から出て来なくなるならと思うと使う人も多いだろう。
連休の最後の日から、種まきをしている。タネの袋を買うと、一度に何十も蒔かないといけないので、たいへんだ。種は残しておいてもいいが、たいていそのままになり、そのうち発芽しなくなる。たくさん出た芽は、近所の人にあげている。
ホームセンターには、キャベツやブロッコリーなど、いとも簡単にできそうに苗が売られているが、実際はすごく大きくなる。子どもの朝顔の植木鉢では育たない。花や野菜の土も、赤玉土と腐葉土とバーミキュライトの基本土に比べると何年も使えない。よく考えて家庭菜園はしないと、金をドブに捨てることになる。