キジトラの憂鬱
久々に、子どもが帰ってきた。
いつもながらの賑やかさだが、付き添いのお客さんがいる。それは、オスのスコティッシュフォールドだ。子どものペットとして、いつも一緒に行動しているのだ。
いつも困り顔で、1階のリビングにいる。のんびりやで、女性にはすぐ懐く。いやらしいオスネコだ。ゴロゴロと、すぐに喉をならしてくれる。おとなしいから、人気がある。
ということは、以前からいたキジトラのメスネコの立場が危うくなった。
キジトラは、いつもは、1階から3階まで、どの部屋もパトロールをし、偉そうにそこら一面に毛を散らかしながら生活していた。しかし、子どもが帰ってきて以来、3階のいつも世話をしている子どもの部屋の押し入れの奥に隠れてしまった。
ご飯やトイレは3階にあるが、なかなか2階に下りてこない。夕方、2階での夕食時に時々現れ、テレビでの、ネコゲームをするのである。
それにしても、スコティッシュフィールドは、体型が違う。脚が長い。とにかく顔がでかい。
キジトラは、帰ってきた子どもにも、子どもと楽しく話をしていたわたしたちにも、シャーッと警戒音を発する。もう区別がない。機嫌が悪そうである。
1階の居間で、スコティッシュフィールドは、王様のように上から目線で見てくる。
実に不気味だ。
キジトラがいつものひょうきんな姿に戻れるためには、長くリハビリがいるかもしれない。