猫クエスト①
うちには、1匹のキジトラがいる。
3歳のメス。
茨木市の駐車場で、親とはぐれた子猫を前にいた芝犬の生まれ変わりと信じた、うちの子どもがもらってきた。
猫がいると、生活にハリがあるからとか、家に帰るのが楽しみになるからとか、近所のおばさんに励まされ、壁紙を引っかかれるのを覚悟して飼うことにした。
懐かしい。
胸のポケットに入るぐらいだったのに、今やずいぶん大きくなった。キジトラはすぐに太るというので、そうならないように、食事制限もしたが、そういうことも心配ないぐらい、食べ過ぎない猫である。
猫嫌いだった家族も、猫を抱けるようになった。誰もが、仕事や外出から帰ると、まず、猫の名前を呼び、探し回る。わたしには、朝のご飯と違うおやつがもらえると知って、帰るとほとんど玄関まで出てきて座っている。江戸時代のお迎えである。
壁紙も、引っかかないし、子どもが帰省して自分の猫を連れてこない限り、トイレの失敗はない。しかし、この時期困るのが毛である。
階段や、廊下のあちこちに散乱する。狭いところにはどこにでも入るので、家中に毛を撒き散らしていく。掃除機のゴミが異常に増える。服につく。時には、台所のまな板の上に毛が落ちていることもある。
2、3日に一度、毛をすいてやるが、3日もすると、こんなにたくさん取れる。
嫌がるので。服も毛だらけになり、何度か噛まれる。
でも、これをすれば、しばらくは毛があちこち行かないようになる。
しば犬も抜け毛がたくさんあったが、家の外にいたのでそんなに苦労はなかった。我が家一の人気者は、邪魔くささでも1番である。