アヒージョ好きのビーバー

世の中の本質を、自分なりに考え、解説します。正義感が強く、偉そうなもの、金持ちには、牙を剥きます。

素敵な和歌山9(ホテル浦島物語)

いよいよホテル浦島のお客様駐車場に到着した。いつものように、入り口に2人、広い駐車場には、中ほどに誘導の職員が1人、そしてマイクロバスの運転手と、係員は4人。

みんな同じような年格好で、やけに日焼けをしているのを見ると、ひょっとして漁師さんのアルバイトではないかと勘ぐってしまう。勝浦は、近海マグロの水揚げ漁港ではあるが、近海漁業を営む漁師さんもいないわけではない。

毎回、そのおじさんたちに聞いてみたいのであるが、勇気がない。おそらく、昭和40年代から黙々と働いてこられたのであろう。簡単な仕事ほど、技術や能力が凝縮しているものである。

どこに駐車させるか、どのタイミングでバスを発車させるのか、おそらく細かな熟練の技というか、規定があるのであろう。

ホテル浦島に来た宿泊客は、この駐車場に着けば、もう一安心なのである。3分ほどバスに揺られ、それから桟橋まで歩き、亀の連絡船に乗るのである。

実はホテル浦島は、半島に建っている。島ではない。ということで、裏からは車で物資が搬入されている。しかし、それはよほど頑張らないと見ることはできない。

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とにかくこの亀さんに乗ると、もう直ぐに浦島太郎なのである。助けてもないのに、機嫌よく乗せてくれる。残念ながらこの亀は一匹しかいないので、乗船できる確率は2分の1であり、いつもいつも乗れるわけではない。赤い少し渋めの年季の入ったもう一隻の船に乗ることめできる。シートも壁もボロボロであるが、それは、この数十年、このシステムを守ってきた揺るぎない伝統によるものである。これが新しくなれば、もはや今時の10000円を下回る金額では泊まることができなくなるのである。

また、建物も仕組みも随分変わってしまった。

もう部屋食はない。

部屋までも自分でそれぞれの館を探しながら、時にはその辺りに佇んでいる、明らかに自分よりも先にこのホテルに来ているに違いないと思われし人ににこやかに近づき、教えてもらうのである。浴衣着の人に聞くのが一番固いのではあるが、時折ご機嫌すぎる人もいて混乱を招くこともあるので、注意が必要である。

部屋に到着すると、もう帰りまで、シティーホテル住まいと何も変わらない。ただし、夕食時にふとんをしいてくれるサービスがある。日章館は、部屋が広く見晴らしがいい。

バイキング方式で、スタートの時間を選んで食べに行くのである。

寿司から刺身、ステーキなど、なんでもある。中華はあまり品揃えはないが、和食を堪能したい外国人にとっては、まあまあ満足できるだろう。キハダマグロの、解体ショーもある。これは、韓国人や台湾人観光客には人気である。説明が日本語なので、外国人は知らずに、1人一切れだと説明されたトロをどっさり持って行ってしまう。中国語もできる従業員もいるのにもったいない話である。まあ、キハダのトロなんてという人にとっては関係ないだろうが。

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食事は、総体に美味しい。それに加えて、サービスは最高である。好き勝手にできるのである。

食事中に部屋には布団が敷かれ、風呂に行くなり飲み直すなりできる。あとは、ビジネスホテルと同じである。

朝は自由に朝食バイキングに行き、チェックアウトをするまでは、部屋の布団はあげられない。

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昔は、本館でも、部屋食があり、ごんど館や日章館には特別なレストランがあった。食事は盛り付けも、食材への仕事も丁寧であった。あの頃、ガチャガチャと、食事が乗ったワゴンを押していた中居さんはどこに行ってしまったのだろう。また、本館一階にあったおみやげ物売り場も、ローソンになってしまった。売り場の元気のいいお姉さんたちはどこに行ってしまったのだろう。外国人という、新たな客層を迎え、ホテルが変化するのもいいが、日本人は、実はそういう世界を求めているのではないところも、わかっていて欲しい。その土地の良さに気づかせてくれるのは、料理や景色だけでなく、紛れもなく人なのである。北海道のホテルで早朝に近くの遺跡ツアーや夜に自然探索ツアーがあったが、何か郷土の良さに触れる場面も欲しいなあと感じた。

しかし、世界遺産に囲まれた街。

十分竜宮城の役割は果たしてくれていた。玉手箱は、カゲロウのお菓子にした。

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